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The Glen of Miyagi

今日は朝からいい天気だ。少し肌寒いがウィスキーを飲むにはちょうどいい。天気予報もまずまず。よし、今日はたっぷり写真を撮るとしよう。

作並駅9:34の列車で作並へ向かう。1時間に1本とはいえ、仙台からはJRを使うのが一番便利だ。480円とバスの半額だし。

しばらくして、窓の外が雪景色になった頃、雲行きがあやしくなってきた。作並に着くと本格的に降り出した。雪混じりの雨だ。止む気配がないのでそのまま蒸留所へ向かう。天気も仙台市街地とぜんぜん違う。

新川川の向こうに蒸留所が見える蒸留所周辺で撮影ポイントを探す。雨が弱くなってきたとはいえ、レンズ交換が出来ない。バス停の待合小屋などでレンズ交換をするもなかなかうまくはいかない。

雪にかすむ、蒸留所1時間ほど周辺を撮影して蒸留所の受付へ向かう。

引き続きモルトキルンやウェアハウスなど建物を撮影していたが雪が本降りになってきた。

"もうやめ。また来る!"

もっと天候のいい季節に再び来るとしよう。アマチュアカメラマンだからできる特権だ。まぁ、また来る理由を作り出したといえなくもないが・・・。

仙台宮城峡モルト原酒20年となると後は飲むしかない。しゃーない、Barに行くとしよう。
天気は悪いが土曜日ということもあって見学者は多かった。が、Barは人が少ない。私にとっては都合がいいが。

さっそく15年と20年の原酒からスタート。この2種類のモルトは非常に出来がいい。余市よりも日本人の好みに合っていると思うけどなぁ。あまり知名度がないのがすごく残念だ。

仙台宮城峡グレーン原酒12年続いて12年グレーン原酒を飲む。グレーンは原酒で飲む機会がほとんどない、というよりもそれだけで飲んでもおもしろみがない。しかしこの原酒はしっかりとした味でウィスキーのうまみを持っている。でもこれをブレンドするのって難しいんとちゃうの?などと酔っ払いの頭の中に煩悩は尽きることはない。

仙台蒸留所のメインバーもう一杯、20年を飲んだ後、25年を飲む。新樽で熟成させたとのことだが15年や20年とは違うタイプでニッカのこだわりを感じる。

昨日はいなかったのだが工藤さんという白髪の男性がカウンターの中に入っていた。今は引退されて土日だけBarにいるが、仙台宮城峡蒸留所開設時のスタッフだったとのこと。その当時の事や竹鶴氏について、いろいろと話をしていただいた。

ただ、工藤という名前はどこかで聞いたことがあったのだが思い出せない。まぁ、私の記憶などどうでもいい。目の前においしいウィスキーがあるのだから。

仙台のモルトを飲みながら考えてしまうことというと、余市でも同じだったが竹鶴政孝氏は仙台に何を求めたのだろうかという疑問とその答えだ。竹鶴氏は余市と全くタイプの違うウィスキーを作るために仙台を作った。ではどんなイメージを描いていたのだろうか。いろいろな資料を見る限り、余市はハイランドタイプで仙台はローランドタイプとなっている。でも私は余市はCampbeltownだと思うし、宮城峡にSpeysideを感じる。2001年に訪れたRothesにあるSpeyburn蒸留所がそのイメージと重なる。Speyburn蒸留所はRothesの町外れの緑に覆われた谷に建つ。Elgin行のバスから見る光景はとても美しい。氏は1度目のScotland滞在時、Rothesにも滞在している。その時に既にあった4蒸留所に興味がないはずがない。必ず目にしているはずだ。竹鶴氏は宮城峡にウィスキーの谷(glen)を見たのではないだろうか。

さてとそろそろ買い物をしよう。もう、どうやっても大量に買って帰ることは目に見えている。ここから送ってもらえるのでたっぷり買ってしまおう。10年と15年の原酒は大きいボトルを買おう。20年は高いので小さいボトルにしようかな。いや、グレーンが1本だけ残っている。これも捨てがたい。樽出し51度もおいしかったし・・・。

特製ウィスキーキャラメルそして忘れてはいけないのがブラックニッカキャラメル。余市でも買ったのだけど非常においしい。

というわけでウィスキーが500mlを5本、170mlを6本、ウィスキーキャラメルとスーパニッカゼリーチョコレートを買って、\55,000を超える出費となりました。結局、こうなるわけやね。

といろいろしているうちに13:27の列車には間に合わなくなってしまった。14:27の列車でも15:15発の空港バスにギリギリだけど間に合う。早めに戻ってJR仙台駅周辺でおみやげでもと思ったが、ここで全部買ったからもういいや。外はいつしか雪が止み、日も差してきた。

仙台宮城峡モルト原酒15年ということはもう少し時間が出来た。あと40分程時間があるな。よし、もうちょっと飲もう。Barに戻り15年原酒をオーダー。そして最後に竹鶴35年を飲む。とても高いウィスキーだがここでは1杯1,200円と超サービス価格。さらにここのスタッフは非常に親切で本来15mlの値段設定ながらすべてのウィスキーはショットグラスいっぱいに入れてくれる。さらにラッキーなことに竹鶴35年は私が注文したのが最後の一杯でボトルの残りもサービスしてくれた。でも15mlは絶対にあったと思うけど。

竹鶴シリーズはピュアモルトと思っていたが、35年だけはブレンデッドウィスキーとなっている。宮城峡蒸留所のモルトはちょうど創設時期だったため、量が確保できなかったようだ。
そして初めて飲んだ竹鶴35年はというと、バランタイン30年に負けないと思った。もっともバラン30年なんて10年ぐらい前に1度だけ飲んだことがあるだけではっきりと味を覚えているわけではないがおいしいウィスキーだったことはまちがいない。つまり世界を代表する最高峰のブレンデッドウィスキーということだ。

こんなにもおいしいウィスキーを飲みだすと時の経つのをを忘れてしまいそうだ・・・と、本当に忘れてしまった。急がないと列車に間に合わない。急いで準備をして工藤さんや他のスタッフに挨拶をし、屋外に出るとまたまた雪が降り出していた。何ちゅう間の悪さ。でもしょうがない、駅まで急ごう。

雪の帰り道しかし作並駅まではほとんど登り坂。酔っぱらいには大変だ。雪も降っている。駅に着くと列車は既にホームに入っていた。あわてて列車に乗り込む。コートや帽子に雪が積もって(?)いた。今日は本降りのようだ。

列車はゆっくりと動き出した。まもなく窓から蒸留所が見えてきた。当分はニッカ、それも宮城峡のモルトにハマるだろうことは間違いない。大量に購入した宮城峡の原酒も明日には到着するだろう。非常に楽しみだ。

"次は緑の季節に来たいな。緑の中にキルンが映えるだろうし、いい写真が撮れそうだ。"

小さくなっていく蒸留所の建物を見ながら再訪の計画を考え始めている私であった。